【薬剤師が解説!】貧血の原因は鉄不足だけではない?!貧血の種類は6つあるんです!

2016年6月2日

貧血といえば、鉄が不足して起こる『鉄欠乏性貧血』が有名ですね。

しかし、鉄欠乏性貧血以外にも貧血には起こる原因がいくつかあり、貧血は原因別に分けると6種類あります。

 

貧血にはどんな種類がある?

大きく分けると、鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、巨赤芽球性貧血、溶血性貧血、鉄芽球性貧血、腎性貧血の6種類です

それぞれの貧血についてみていきましょう。

 

鉄欠乏性貧血

体内の鉄の量が減ることで起こる貧血です。貧血の約2/3が、この鉄欠乏性貧血です。

特に女性は月経があり男性よりも鉄欠乏性貧血になりやすく、妊娠や授乳などでも鉄分が普段よりも必要になるので、鉄分不足になりやすいのです。

胃を切除していたり、胃酸が出ていないなどの原因でも起こる場合があります。

 

症状としては、頭痛、めまい、動悸、息切れ、体のだるさなどがみられます。

スプーン状爪といって、スプーンのような形で、爪が反り返るような症状がみられる場合もあります。

体内の鉄分は減っていく順番があり、貧血症状も徐々に現れてきます。

貯蔵鉄→血清鉄→ヘモグロビン鉄→組織鉄の順に、体内の鉄分が減っていきます。

 

 貯蔵鉄:主に肝臓で貯められている鉄分

 血清鉄:血液中に含まれている鉄分

 ヘモグロビン鉄:赤血球中に含まれる鉄分

 組織鉄:筋肉や皮膚などに含まれる鉄

 

ヘモグロビン鉄が減ってくると、貧血症状が徐々に現れてきます。

さらに組織鉄まで減ってくるとスプーン状爪が現れてきます。

 

治療としては鉄剤を服用します。

赤血球数が正常になった後も、貯蔵鉄がきちんと蓄えられるまで数か月ほど服用を続けます。

数値がよくなったからといって、途中で服用をやめてしまうとまた貧血になりやすいので、しっかり医師の指示通り服用していきましょう。

 

再生不良性貧血

骨髄の障害が原因で起こる貧血です。

赤血球は骨髄でつくられているため、骨髄に障害が起きてしまうと、赤血球の数が減ってしまい、貧血が起こります。また、赤血球だけでなく、白血球や血小板も骨髄でつくられるため、これらの数も減ってしまいます。

症状は一般的な貧血症状と同じで、頭痛、めまい、動悸、息切れ、体のだるさなどがみられます。

血小板も減ってしまうので出血しやすくなったり、白血球が減ることで免疫が落ちて感染症にかかりやすくなったりします。

治療としては、造血幹細胞の移植、免疫抑制療法、アンドロゲン療法、支持療法(必要に応じて赤血球、血小板などの投与を行う)などを、年齢と重症度に合わせて選んでいきます。

 

巨赤芽球性貧血

ビタミンB12不足、葉酸不足が主な原因で起こる貧血です。

悪性貧血(自己免疫により胃の粘膜が萎縮することで、ビタミンB12の吸収が低下して起こる貧血)や、胃や回腸切除によるビタミンB12の吸収低下、菜食主義者の方などは摂取不足となりビタミンB12不足が起こります。

葉酸不足は、薬剤(メトトレキサートやフェニトイン)、アルコール摂取などにより起こることがあります。

『巨赤芽球』性貧血という名前の通り、赤血球になる前の段階の赤芽球がDNAの合成障害により異常が起こり、巨大な赤芽球が産生されてしまいます。

症状としては、一般的な貧血症状である頭痛、めまい、動悸、息切れ、体のだるさなどが現れます。

ビタミンB12不足の場合は、手足のしびれがみられる場合があります。

治療としては、ビタミンB12不足が原因であればビタミンB12の注射、葉酸不足が原因ならば葉酸を投与となります。

 

溶血性貧血

溶血性貧血の原因はさまざまで、遺伝によって起こる場合や、自己抗体、幹細胞の突然変異、腫瘍などが原因となって起こる場合があります。

溶血性貧血は、赤血球が壊れてしまって起こる貧血のことをいいます。

血管内で溶血する場合と脾臓などの血管外で溶血する場合に分けられます。

症状としては、一般的な貧血症状である頭痛、めまい、動悸、息切れ、体のだるさなどが現れます。

また、黄疸(皮膚や白目が黄色くなったりする)が現れます

治療としては、自己免疫が原因である場合は副腎皮質ステロイドの投与、無効な場合は免疫抑制剤投与や脾臓の摘出が行われます。

 

鉄芽球性貧血

鉄芽球性貧血は、遺伝によるものと骨髄異形成症候群や薬剤、慢性感染症、鉛中毒などが原因となる場合があります。

鉄分の不足は起きていないのですが、赤血球のヘモグロビンをつくる過程がうまくいかずに起こる貧血です。

症状としては、一般的な貧血症状である頭痛、めまい、動悸、息切れ、体のだるさなどが現れます。

また、長期間の罹患や輸血回数などによりきちんと利用できなかった鉄分が肝臓や脾臓に蓄積したり、皮膚色素沈着や糖尿病、心不全など様々な症状が出る場合もあります。

治療としては、薬剤性や中毒などが原因であればその原因の対応、ビタミンB6の大量投与、鉄過剰が起きていれば鉄キレート剤投与などがおこなわれます。

 

腎性貧血

腎性貧血は、腎臓の働きが落ちることが原因で起こる貧血です。

腎臓の働きが落ち、エリスロポエチンという血液の産生を促すホルモンの分泌が減ってくることで貧血が起きてきます。

腎性貧血は、ゆっくり進行するので貧血の自覚症状がない場合が多いです。

治療法としては、エリスロポエチンを注射で補い、必要に応じて鉄剤を内服もしくは点滴で投与します。

 

 

さいごに

原因別に分けて6種類の貧血がありましたが、ただの貧血だからと放置せずに病院で診断を受けてしっかり治療していきましょう。

女性の方は鉄欠乏性貧血のリスクが高いですので、普段の食生活から鉄分摂取、ビタミンC、ビタミンB6・B12、葉酸など併せて摂るように心掛けていきましょう。